一人でいろんな町に行ってみると、やはりその土地のものを食べてみたくなる。
だけど、観光地で人気のものは、案外、地元の人が食べていないのでは?という疑惑を抱くようになった。
例えば神戸の人はそれほど神戸牛を食べていないかもしれないし、京都の人はそれほど八つ橋を食べていないかもしれない。
値段が高かったり、いかにもその土地らしすぎて、観光客にはウケるけれど、地元の人はそれほどでもないのかもしれない。
しかし、地元のスーパーに足を運ぶと、当然、地元の人に支持されているものが並べられている。
まさしく地元のスーパーで、その土地にしかないものこそ、普段の生活の中で、地元の人に支持されているものなのだ。
という、こじつけによって、大阪の超地元密着スーパー玉出に行ってみることにした。
スーパー玉出といえば、なんと言っても、その価格の安さで有名だ。
そして、店構えがめちゃくちゃ派手で、さながらパチンコ屋のようであるということも、玉出らしさの一つといえるだろう。
そんなスーパー玉出で特筆すべきが惣菜だ。実にバラエティ豊富であり、とにかく安い。
今回はその中でも大阪らしいものを買ってみることにした。
1、紅生姜天
まずは、新今宮店に行ってみた。新今宮店はとても交通の便がいい場所にある。それほど大きい店ではないのだけれど、少し何かを買うのに適している。
店内で、早速見つけたものが、「紅生姜天」。いかにも大阪らしいものの一つだ。
最近は、紅生姜天のお菓子なんかも発売されていたりして、お土産コーナーでよくみるのだけれど、案外、紅生姜天そのものに出会うことがなかったりする。
一体、紅生姜天はどこで売っているのだろう?と思っていたら、普通にスーパー玉出で売っていた。
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早速食べてみる。これはやはりクセになる味だ。
子供の時から思っていたのだけれど、何かこの食べ物には背徳感のようなものがある感じがする。
なんというか、ケーキで例えるなら、生クリームだけを食べているような。
生クリームほど恐ろしいものではないと思うのだけれど、やはり他の天ぷらとは一線を画していいることは間違いないと思う。
値段は105円。食べ歩きにも最適。
ちなみに、スーパー玉出には、お客さん用の電子レンジが置いている。
スーパーで電子レンジがあると、ちょっと目を引くのだけれど、スーパー玉出にあると、自然体な感じがするから不思議だ。
2、天下茶屋丼
次は「天下茶屋店」へ行ってみた。
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ここまでやってくるとなかなかディープなエリアになってくる。
惣菜もディープにならざるを得ないのか、見つけたのは「天下茶屋丼」という丼ぶりだ。
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正直言って、実際の見た目はそれほど美味しそうには見えない。
だけど「天下茶屋」という地名を冠されると、一度は食べてみなければ、と思ってしまう。
この丼には一体、どういう天下茶屋性があるのかが気になるのだ。
実際食べてみると、天下茶屋丼の天下茶屋性を理解する以前に、結局どういう丼ぶりなのかということを説明するのが難しい。
まず、とにかくいろんな天ぷらが入っているようだ。
(”いるよう”というのは実際、どんな天ぷらが入っているのかよくわからないのだ)
少なくとも僕が認識できたものでは、紅生姜、イカ、レンコン、ちくわ、である。しかしこれもあっているのかどうかはわからないし、あるいは他にも入っているものがあったはずだ。
さらにそこに卵とじと、あんかけがかけられている。
これも、おそらくそうだろう、という感じで、よくわからない。
親子丼風のような感じもするし、中華丼風のような感じもする。さながら天丼の亜流ともいえるかもしれない。いずれにしてもあらゆる要素が含まれていて、複雑な種類の類であることは間違いない。
最初は、この値段だからまずくても文句は言えないなと思ったのだけれど、これがなかなか美味しいのである。
あらゆるものが複雑にからまっているのだけれど、それらがお互いに邪魔をしているという感じがない。
結局、この天下茶屋丼から、いかなる天下茶屋性を見出せばいいのか、僕には確定的な要素を発見することができなかった。だけどこの複雑性こそが「天下茶屋丼」なのでは、という感じがしてくるのである。
3、たこ焼き
次は、大国町店へ行ってみた。
大国町店は、大国町の由来にもなっている大国主神社のすぐ裏手にある。
神社の境内からもド派手な玉出の看板が垣間見える。
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神社の裏手だろうが容赦無くパチンコ屋風の看板をつけていくのをみると、やはり大阪は商業の街なのだということを痛感させられる。
そんな大国町店で見つけたものが、たこ焼き。
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大阪ではどこでも入手可能なたこ焼きなのだが、値段がすごい。税込み138円。冷凍食品よりも安い。
スーパーの惣菜が冷凍食品より安くていいのだろうか。
味はさすがに期待しないでおこう、と思ったのだけれど、冷凍食品よりも十分美味しいし、平々凡々なたこ焼き屋で作り置きされたものより美味いかもしれない。
恐るべしスーパー玉出である。
スーパー玉出を訪ねて思ったのは、大阪という町には、なんとか目立ちたい、人とは違うやり方でやりいたい、というような気風があったし、それはいまだに受け継がれている気がする。
それが、象徴的にあらわれるのが、”安さ”と”派手さ”、だったのではないか、と。
スーパー玉出は、そんな大阪人の気質を掴んできたのか、あるいはその先頭に立つ先駆者だったのか。
いずれにしても、訪ねるたびに発見がある面白いスーパーなのである。
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